君に許しのキスを
第4章─接触─

─side周

無難に生きたい。

そう考えるようになったのは、いつからだったか。
こういうの、投げやりな人生とでも言うのか。

鬼みたいな形相で走り去っていった女生徒を見送りながら、俺はそんなことをふと考えていた。


確かに、最低なこと言ったな。
と思うと自分自身に対して、小さく吹き出してしまった。

つーか、あの子、誰だったか。
名乗らなかったけれど、まるで見覚えがない。

俺の受け持ちじゃねーよな。確か。

ファンみたいな奴らの中にいたのだっけ。
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