君に許しのキスを

─side妃奈

「村西さん。」


前方からしたその声と同時に、それまで隣を歩いていたはずの凜がぱっ、と後ろに向き直り、駆け出した。

「トイレ、行って来るね。」
と小声で言って。


その姿を見送って、声のほうに向き直った。



さっきの最低男が、にっこり笑って立っている。
< 40 / 301 >

この作品をシェア

pagetop