君に許しのキスを
「何ですか。」

あたしは返事だけはしたけれど、廊下に立っている最低男を素通りして下駄箱に向かった。


「さっきのことで、ちょっと補足をしておきたくて。
あ、時間はとらせないから。」

とにこにこ笑顔を作りながら言う。


あたしは無視して、下駄箱から靴を取り出す。


さっと靴を履いて、言ってやった。

「わかってます。
先生がさっき、タバコ吸ってたって話ですよね。」

わざと大きくして。



それなのに、最低男はまるで顔色を変えず、恐ろしいほどその笑顔を崩さなかった。
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