君に許しのキスを
あたしはつい、その男の顔を見た。


すると男もあたしの顔を覗き込む。

「まあ、学校側がどっちの言うこと、信じるかでしょ。」

そう言ってにっこりと笑う。


「…脅し…ですか?」

「何それ。
穏やかじゃないね。」


恐ろしいくらい笑顔を崩さない。


あたしは男の顔を、きっ、と睨んだ。


「じゃあ、黙ってる代わりに、あたしもお願いがあります。」
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