君に許しのキスを
俺はその声の方に目をやった。


「…やば…」

その声の主はまた小さな声を漏らし、ぱっと顔をそらした。


しかしその瞬間、その声を思い出した。

「ああ、放課後の…」

そうだ。確かに、今日の放課後聞いた声だ。
思い出せてすっきりしたせいか、思ったことが声になってしまった。

「村西、だ。」


そういうと、「村西」は少し進んだ先から、ゆっくりと振り返った。
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