君に許しのキスを

─side妃奈

何でここにあいつがいるんだろう。

あたしは内心ひやひやしていた。

凜には言えない。
あの男がいることは。

パニックを起こしたり、はしないだろうけど。

場所を変えたいけれど、もう既にメニューを見ながらにこにこと笑って、
「どうする?」
なんて聞いてくる凜に、何て言えば良いのか、わからない。


だからあたしは、ただ平静を装って凜とメニューを見ていた。
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