君に許しのキスを
あいつの声が、あたしの名前を呼ぶ。


一瞬、頭がぐらりとした。
あたしは、大きな溜め息をついて、黒板に向かう。


あいつのことは、見ない。



予習はバッチリしてある。
勉強は、何故だか好きだから。
中学の頃からそうだったのかな。


学校も結構好き。
中学の時の記憶が無い分なのか、楽しいし。



ただ、あの男の存在だけが、あたしの足元をふらつかせ、気分を吐きそうなほどに、重くする。
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