君に許しのキスを

─side妃奈

ドアが上手く開けられなかった。


ああ、凜のこと、置いてきちゃった。

ああ、もう、どうしよう。



色々な考えが頭の中をぐるぐる巡るのに、ひとつとして、まとまりそうにない。


あたしは部屋に入ると、ベッドに飛び込んで、枕に頭を埋めた。


何も考えられない。



それなのに、さっきの光景が、頭にありありと思い出されて、胸の高鳴りが止まりそうにない。



どうしよう?
どういうこと?



あたしはあいつと、曲がりなりにも教師であるあいつと、キスをしてしまった。
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