君に許しのキスを
お店に入っても、別に年齢確認とか、されなかった。


あたしは妃奈ちゃんに笑いかけた。


「やっぱり、大丈夫だったね。」

にっこり、いつもどおり、な笑顔を作って。


妃奈ちゃんも、
「そりゃあ、もちろん。」
と、口角をきゅっと上げて、目尻を柔らかく下げて、いつものソツのない笑顔をつくる。



あたしたちは席に案内された。



いつも行くような、ファミレスなんかとは違う、薄暗い店内。

“居酒屋”という、ちょっとしたルール違反。



そのせいか、なんだか胸が高鳴る。
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