君に許しのキスを
あたしの心臓は、ゾワゾワと変な風に脈打ち始め、吐き気がするほど気分が悪くなった。


あの男のせいだ。



思えばあたしは、こういうところにいる、男性店員や男性客には、あの男に感じるような気持ち悪さを感じない。

もちろん、あたしから関わることはないし、注文とかも妃奈ちゃんにしてもらうのだけど。


だけどあの男は、嫌。
他の男と比べてみても。
理由はよくわからないけど。


「…凛?」


そんなあたしの様子に気付いた妃奈ちゃんは、あたしに声をかけた。

あたしが見ている方向にも、気が付いたようだ。
少し、顔が引きつっている。
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