ヤクザと執事と私 1
第2節:ホームレス
私は、ヤクザが荒らした部屋を見渡す。
両親との思い出の部屋もこうなったら、まるで別の部屋のようだ。
私の心の中は、まるで空洞の様に風が吹き抜けている。
「なんでこんなことになっちゃったんだろ・・・」
思わず独り言がこぼれる。
2日前までは、私は普通の高校生だった。
たった2日ですべてのものが私の両手から零れ落ちてしまっていた。
両親との暖かい生活や友達との楽しい会話が走馬灯の様に私の頭の中を駆け抜けていく。
(・・・これから、どうしよう・・・)
思い出が駆け抜けた後、私は現実に引き戻された。
私がやったことではないとはいえ、ヤクザをボコボコにしてしまっている。
(もう、ここには、いられないよね・・・)
私は、必要最小限の荷物をまとめる。
(とにかく、一刻も早くここを離れないと・・・)
私は、まとめた荷物と少しのお金を持って、住み慣れたアパートを飛び出した。
私のホームレス生活のはじまりだった。