ヤクザと執事と私 1
男が、背中側に手を縛られている私とサブをみて、少し考え込む。
「・・・何にもしねーから、手の縛りをとってくれよ。」
サブが、男に頼んでみる。
「うるせー、黙ってろ!」
男は、そんなサブを相手にせずに考え込む。
しばらく考え込んだ後、男は私の側に来ると、
「お前の手の縛りを解いてやるから、あのうるさい男にもこのパンと水を食べさせろ。」
どうやら男は、サブより体の小さい私なら、手を解いても安全と思ったらしく、私の手の縛りを解き始めた。
ずっと背中側に手を縛られていたので、少し手に痺れを感じる。
「ほら、あのうるさい男に食べさせてやれ。」
男が私にめんどくさそうに命令する。
私は、言われるがまま、サブにパンと水を食べさせる。
(・・・サブさん・・・お腹痛いふりしてください・・・)
私は、小声でサブに話しかける。
一瞬、どういう意味か分からないといった表情をサブがつくったが、すぐにサブは目で了解と私に伝えてきた。