ヤクザと執事と私 1


「あれ?・・・痛、いたたたた~・・・」


サブは、細かな演技を織り交ぜながら、見事に腹痛を装う。



「おい!どうしたんだ?」


男がサブの急な痛がりように焦りながら、サブと私の方へ走ってきた。


私はその瞬間、男の走っている力も利用して、思いっきり男を投げ飛ばし、コンクリートの床に叩きつけた。


そして、すぐに男の両手を、私やサブがやられたように、背中側で固く結ぶ。


男は、どうやら、気をうしなっているようだった。


「ナイス!小夜!」


サブが嬉しそうに私に声をかけてくる。


「これ、これ、これ」


サブはしきりに私に縛られている手を見せてアピールする。


「すぐに解きますから、待ってください。」


私は、サブの後ろにまわり、縛られている両手を解く。


「あ~・・・やっと手が自由になったよ。」


嬉しそうにサブが叫ぶ。


「サブさん・・・頼みますから、静かにしてくださいよ。他の奴が来ますよ・・・」


私は、ややあきれてサブを見る。
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