ヤクザと執事と私 1
「それで、ここはどこ?」
私は、男を見つめたまま聞いた。
「町の外れの今は廃墟になってるホテルだよ。」
「ああ、あそこか!」
サブがわかったというふうな反応を示す。
「知ってるんですか、サブさん?」
「ああ、知ってるよ。町外れにあってな、車じゃないと、とてもじゃないけど、組まで帰れないぜ。」
最悪なことを自慢げにサブが語った。
「・・・でも、とりあえずここから逃げないと、龍一さんに迷惑がかかりますよ?」
「ゲッ!小夜って、執事さんのこと、龍一さんって呼んでんの?」
「はい。」
「それで、よく生きていられるな・・・」
怖いものを見たという表情でサブは私を見つめるが、すぐに私の最初の言葉を思い出し、少し焦り始める。
「確かに執事さんに迷惑をかけたら・・・・ここで生きて帰れても、帰った後で殺されるな・・・」
まさに行くも地獄、帰るも地獄・・・・
私とサブは目を合わせ、深い・・・深いため息をついた。