ヤクザと執事と私 1
私はとにかく歩いた。
家の周辺にいて、もしヤクザに見つかったら、今度こそ売られてしまう。
どの方向でもいいから、家から遠くへ遠くへと足を進めた。
日がかたむいた頃には、私の知らない場所に着いていた。
自分のいる場所はわからなかったが、とりあえず近くにあった広い公園に入る。
(・・・とりあえず、ここまでくれば、大丈夫かな?)
私は立ち止まり、所持金を確かめてみる。
(3万円ちょっとかぁ~・・・)
どう考えても、数日で私の所持金はなくなってしまう。
バイトを探すにしても、ホームレスの私なんて雇ってくれるところはない。
あったとしても、ホームレスの16歳の女の子をやとってくれるバイトなどいかがわしいバイトだけ。
私は、最高に深いため息をつき、公園のブランコに座った。