ヤクザと執事と私 1
「アニキー!どうしたんですか?」
部屋に男が2人飛び込んできた。
「てめーら、どうやって腕の縛りを解いたんだよ?」
飛び込んできた男2人は、何故、縛られていた私達が自由になっていて、逆にアニキと呼ばれた男が縛られているのか理解できないといった感じで目をパチクリさせている。
「お前ら、もう・・・もう・・・いいんだよ。」
アニキと呼ばれた男が、飛び込んできた男2人に静かに語りかける。
「何でですか!アニキ!まだ、執事への復讐は終わってませんぜ!」
男の1人が、叫ぶ。
「状況を見ろ。もう・・・すべて執事にはお見通しなんだよ。」
縛られている男がさらに悔しそうに言葉を搾り出す。
そう言われて初めて、男2人は真木ヒナタに気がついた様子だ。
「あれは・・・笹山組の幹部の真木ヒナタ・・・あ・・・アニキー・・・」
男2人は縛られている男の方へ走っていくと、そのまま縛られたままの男に抱きついて泣き始めた。
そして、縛られてる男も号泣し始めた。
・・・・何・・・これ?
まるで青春映画を目の前で演じられているかのような茶番・・・・
真木ヒナタを見ると、すでに興味なしと言った感じで、座ってホコリだらけ床に手で何かを書いていた。
ただ1人、サブだけは、何故か感動した様子でしきりに涙を拭いていたが・・・