ヤクザと執事と私 1
「俺達の命を取らないとおっしゃるので?」
アニキと呼ばれている男が私に聞く。
「そうです。だから、どこへでも行ってください。」
私は、もうこれ以上、茶番を見せられるのはごめんだった。
「・・・・な、なんて、心の広いお方だ・・・そんなお人を俺達は・・・・あの、お名前は?」
アニキと呼ばれている男が私に聞いてきたが、私は名前を教えていいものか迷っていると、後ろから真木ヒナタがかわりに答えた。
「あ、こいつ?小夜ってんだ。」
私は後ろの真木ヒナタを見ると、これからどうなるのか興味深々といった感じだった。
「小夜さん・・・いや、小夜兄さんと呼ばせてください。」
アニキと呼ばれている男が私の目の前に迫って来た。
「え、え、いや、・・・勘弁してくれませんか?」
一応、聞いてみるが、
「勘弁できません。今度から、俺達は、小夜兄さんのために命をかけさせていただきます。」
男のおじさん3人が、涙を流しながら、私を見つめている・・・・
・・・気持ち悪いかも・・・・
そんなことを考えながらも、どうにか断れないものか考えていたが、再び、後ろから、
「よし。お前達の気持ちはよくわかった。今度から、小夜の下の執事見習い見習いとして、俺が組に口を利いてやろう。」
と、笑いをかみ殺しながら真木ヒナタが宣言した。