ヤクザと執事と私 1
第2節:ぼったくり
真木ヒナタは、車の助手席に座り、かなりご機嫌な様子。
ポチさんが運転席に座って、私と執事が後部座席。
普通は、私が、助手席だと思うんだけど、真木ヒナタが最初に助手席に乗ったから私は、仕方なく、執事と後部座席に乗る。
「それでは、運転させていただきます。」
ポチの律儀は言葉とともに車は走り始める。
「どちらに向えばよろしいのでしょうか?」
運転しながら、ポチが尋ねた。
「ああ、俺が、曲がり角で教えてやるよ。」
真木ヒナタが答える。
私は、隣に座っている執事からいい香りが匂ってきていて、匂いに誘われて、今にも執事の方に倒れそうになるのを必死にこらえていた。
「小夜さん、それにしても、真木ヒナタさんが誘拐現場を見ていて、良かったですね。」
執事が私を見つめて話しかけてくる。
「・・・はい。」
私は、意識が飛びそうになるのを我慢しながら答える。