ヤクザと執事と私 1
「ところで、真木ヒナタさん1人で小夜さんとサブさんを助けたのですか?」
執事が今度は前を向いて、真木ヒナタに話かけた。
「ああ・・・」
真木ヒナタが答え始めたところを、割って入るようにポチが答えた。
「いや、そこにいらっしゃる小夜兄さんが、御自分で誘拐犯を投げ飛ばして逃げ出されたんですよ。それはもう・・・今、思い出しただけでも、立派な投げ技で・・・」
ポチはまるで自分が投げられたのを忘れたように語っている。
「そうだったんですか。小夜さん、よくやりましたね。」
執事が私に微笑む。
もう、それだけで、最高のご褒美・・・。
「ところで、それなら、真木ヒナタさんとサブさんは何をしてらしたのですか?」
執事の言葉に真木ヒナタがギクッと体を固くしたのが、後ろにいた私にはわかった。
その行動に気づかないポチは続けて答えた。