ヤクザと執事と私 1
運転しながらも、先ほどと違い、明らかにソワソワしはじめた。
「覚えとけよ・・・ポチ。」
真木ヒナタが静かにポチを脅す。
「ううう・・・すいません。」
ポチは謝るのが精一杯だった。
目的地までは、車で20分程度で着いた。
駅前の繁華街。
私は、夜の繁華街で遊ぶようなことはしなかったから、夜の繁華街を歩くのははじめての経験だった。
執事と真木ヒナタの後ろをついて、私が歩いているんだけど、人通りが多いにも関わらず、まるでモーゼのように人ごみが割れていった。
それに、歩いていると、普通の人は、ただ横を通り過ぎるだけだけど、いかにもの怖そうな人に限って、執事と真木ヒナタに挨拶をしていく。
なんか・・・ちょっと気持ちよかった。
私まで偉い人になったような気分。
車を置いた場所から、5分程度歩いた場所にそのビルはあった。