ヤクザと執事と私 1
「・・・」
私は、涙を服のスソでぬぐい、年配の女性のホームレスを見つめる。
「ずっと泣いてたけど、何かあったのかい?」
年配の女性のホームレスの声は、世界で一人ぼっちの私の心に優しく入り込んできた。
私の目からは、再び涙が溢れてくる。
「まいったね・・・」
年配の女性のホームレスは、困ったように頭をかく。
「家出かい?」
私は横に首を振る。
「彼氏にでもふられたのかい?」
私はまたもや横に首を振る。
「・・・友達と喧嘩したのかい?」
3度目の質問も私は、首を横に振った。