ヤクザと執事と私 1
「ところで、大和の携帯にはかけたのか?」
真木ヒナタが、組長を呼び捨てにしながら、執事に聞く。
「はい。何度もかけているのですが・・・つながりません。」
執事は本当に心配そう。
私は、隣に立っていたポチに小声で尋ねる。
「組長が1人で出かけるのがそんなに問題?」
「はい。ヤクザの組長は、とにかくいろんな人から恨まれてますから。一人で出かけるなんて、自殺行為と一緒です。」
ポチも小声で私に教えてくれた。
そんな・・・私は、そこまで一大事だとは知らなかった。
それだと、執事のあの慌てようも納得できる。
「とりあえず、組長かその尾行している方からの連絡を待つしかありませんね。」
執事がしょうがないといった様子で真木ヒナタに話しかけた。