ヤクザと執事と私 1
それにしても、もう少し真木ヒナタは受け答えの仕方があるだろうにと思ってしまう。
ぶっきらぼうにもほどがある。
こういう時に執事だったら、うまく受け答えしそうだけど、執事は店長の方を見ようとはせずに、真木ヒナタにまかせっきりだ。
「本日は本当に笹山組の組長様にも、おいでいただきまして、・・・」
その店長の言葉を聞いて、今まで店長をひとつも見ようとしてなかった執事がくいついた。
「うちの組長がいるのですか?」
店長は執事の会話の途中で割り込まれて、やや焦った表情で答えた。
「えっ、あ、はい。皆様より早くにおいでになられて、奥のVIPルームでお楽しみいただいておりますが・・・もしかして、まずかったですか?」
店長はもの凄く不安そうだ。
「いえ、まったくまずくありませんよ。それでは、店長、そのVIPルームに案内していただけますね。」
執事の顔は笑っていたが、目はまったく笑ってなかった。
「・・・大和・・・終わったな・・・」
真木ヒナタがポツリとつぶやいた。
それは、私が心の中で思っていたことと同じ意見だった。