ヤクザと執事と私 1
第4節:組長の災難
私達が案内されたVIPルームは、今まで私達がいた場所よりも一段と豪華な場所だった。
ソファーやテーブルも私は価値がわからないけど、明らかに先ほど見たものより高級感が漂っている。
その高級な家具の中に女性を両腕に抱え、さらに向いに2人の合計4人の女性をはべらせた、大和組長がこれ以上ないくらいのデレデレ顔で座っていた。
私達を見た瞬間、完全に動きが止まる組長。
「楽しそうですね・・・組長・・・」
執事の後ろに立っていたので、執事の表情はわからなかったけど・・・明らかに背中から炎が燃え上がっているような執事の雰囲気。
「・・・やあ、龍一・・・元気?」
ぎこちない動きで組長が右手を上げる。
みるみる組長の顔に汗が溢れているのがわかる。
「とりあえず、あなた達は出ていなさい。」
執事は、組長の周りにいた女達に冷たく言い放つ。
反論を許さない強さを秘めた言葉。
女達は、それまでVIPルームの外に聞こえていた騒ぎが嘘のように、静かに、そしてこの上なく早く、部屋から出て行った。