ヤクザと執事と私 1
美華は、ポチの時と同じように執事の頬を平手ではたこうとしたが、執事はその手を優雅に掴むと、まるで美華にキスするような距離感で、
「女性が暴力を振るう姿は、あまり美しいものではありませんよ。特に、あなたのような綺麗な女性が、暴力を振るうものではありません。」
と、優しく低く心に響く声で美華に語りかけた。
「・・・・ちょっと、離れなさいよ・・・」
美華は、頬を真っ赤に染めて執事を両手で優しく押す。
「これは、失礼致しました。」
執事は、とどめの笑顔を美華に向け、美華と距離をとる。
「申し訳ございません。」
わずかなタイミングを逃さずにClubの店長が入ってきて、組長の前で土下座をする。
「何で、店壊されたこっちが謝らないといけないのよ!」
店長のその姿を見た美華が今度は店長に激怒した。
「いいから。美華も謝りなさい。」
店長は美華に頭を下げるように必死で、美華の頭を抑える。