ヤクザと執事と私 1

「ああ、気にしなくていいよ。確かに店に迷惑をかけたのは本当だしな。」


組長が、美華に声をかけた。


「本当にすいません。そういってもらえると・・・。そちらの方にも・・・失礼しました。」


美華は、執事の方を向くとあらためて、恥ずかしそうな様子で謝罪する。


「いえ、組長の言われたとおり、こちらが悪いのですから、お気になさらなくて結構ですよ。あと、今回の被害額をお知らせいただきましたら、笹山組の方で払いますので、明日にでも組の方にお知らせください。」


執事が美華と店長に言った。


「ありがとうございます。」


店長が執事と組長に何度も頭を下げた。


「あのお名前は?」


美華が執事に名前を聞いた。


「名乗るほどの者ではございません。ただの笹山家の執事ですから。」


執事は、さわやかに美華に微笑んだ。
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