ヤクザと執事と私 1

「そうですか・・・お名前は、シツジさんっていうんですね。」


明らかに勘違いしているような美華の返事。


「いえ、あの・・・執事ですよ?」


再び執事が繰り返したが、


「はい。シツジさんですよね。」


美華が繰り返す。


「・・・・そうです。」


執事は、美華の勘違いを正すのをあきらめた。



「あのお詫びといってはなんですけど、もう閉店時間で他にお客さんいませんので、こちらで飲みなおしませんか?」


美華がみんなに声をかけた。


「そうだな。そうするか。」


組長が美華の言葉に賛成する。


「そうだな。久しぶりに飲むか。」


真木ヒナタも同意する。


「連絡があるまでですよ。」


今日の一連の出来事でイライラの溜まっていた執事も組長と殴り合いをしたことでさっぱりしたのか、めずらしく許可する。


「それでは、行きましょうか。小夜さん、行きますよ。」


私は、執事の後ろをついて荒れた部屋を出て行った。

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