ヤクザと執事と私 1
第6節:美華
美華は、この『Club 華』のナンバー1のホステスだった。
初対面があまりに酷かったので気付かなかったが、普通に見ると美人で色気もあり、その上・・・・・胸も大きい・・・私と違って。
着ているドレスも胸が強調されているものなので、その影響も少しはあるだろうけど、それを差し引いても立派なものだった。
「それにしても、なんで組長さんとシツジさんが殴り合ってたんですか?」
美華がちゃっかりと執事の隣に座って、執事のコップにお酒を注ぎながら、先ほどとは違い甘い声で執事に話しかける。
「ただの兄弟喧嘩みたいなもんだよ。」
執事は美華にはまったく興味を示さず、その執事の代わりに組長が美華の質問に答えた。
「えっ?組長さんとシツジさんって兄弟なんですか?」
美華は、懲りずに執事に向って話しかける。
「違うよ。ただ、幼馴染ってだけさ。」
再び、執事の代わりに組長が答えた。