ヤクザと執事と私 1
執事といえば、美華が入れたお酒に手をつけることなく、ただソファーに腰をかけているだけだった。
私は、真木ヒナタの隣に座り、真木ヒナタと一緒に運ばれてきた果物の盛り合わせとアイスの盛り合わせを食べていた。
先ほど遅い夕御飯を食べたばかりだというのに、果物とアイスは止まることなく私のお腹に入っていく。
別腹って本当にあるんだなぁ~・・・幸せ・・・
私は、少し美華の執事に関する行動が気になっていたが、あえて気にしないようにしながら、果物とアイスに集中していた。
「うめぇーな、小夜。」
嬉しそうに真木ヒナタが声をかけてくる。
「そうですね。真木さん。・・・ところで、真木さんは、お酒飲まないんですか?」
私は、執事が飲まないのはなんとなくわかるとしても、真木ヒナタはお酒が好きそうなのに飲まないのが意外だった。
「・・・ああ、何かしらないけど、俺が飲むと怒られるんだよ。奴らに。」
真木ヒナタは不愉快そうにそう言って、組長と執事の方を見る。