ヤクザと執事と私 1
「・・・?何でですか?」
私も組長と執事を一度見た後、真木ヒナタを見る。
「・・・1回、組長についてアメリカのマフィアとの取引についていったことがあるんだよ。・・・その時、取引が完了した後に、向こうのマフィアが酒おごってくれてさ、俺も飲んだんだけど・・・・気付いたら、マフィアの連中、全員半殺しにしててさ・・・・何か俺、ちょっと酒癖悪いみたいでさ・・・」
まるで笑える悪戯をした子供のような笑顔で笑いながら、とんでもないことを真木ヒナタが告白する。
「・・・ちょっとだと?」
真木ヒナタの話が聞こえたのか、組長が真木ヒナタの方を向き立ち上がった。
「あの後、どれほどアメリカから帰ってくるのが大変だったか・・・俺は、もう日本の地は踏めないと覚悟してたぞ!」
組長は、その時の経験を思い出したのか、半泣きになりながら、真木ヒナタを責める。
「まぁ~・・・帰って来れたんだから、いいんじゃない?」
そんな組長を一目も見ずに真木ヒナタが答える。
「・・・あの、もしかしてですけど・・・そのマフィアとの仲直りは・・・してるんですよね?」
ポチが恐ろしいことを聞いたような声で、一応確認する。