ヤクザと執事と私 1

「・・・どうせ・・・どうせ・・・俺は、もてないし、根性曲がってますよ。」


ポチは、今にも自殺しそうな表情で恨めしそうに、私と真木ヒナタを精一杯にらんでいた。



私と真木ヒナタのやり取りを聞いていた組長もおかしそうに笑っていたが、最後に一言、


「ところで、ポチって何者?」


誰もまだ組長にポチの説明をしていなかった。



その時、執事の携帯電話が鳴る。


執事は優雅にポケットから携帯電話を取り出し、携帯電話に出た。


「もしもし・・・・」


一同、ここに来る前の出来事を思い出し、執事が携帯電話を話終わるのを待つ。


「わかりました。では、すぐに向います。」


執事が携帯電話を切ると、私達に向って言った。


「Barを荒らした方の居場所がわかったそうです。すぐに向いましょう。」


執事のその言葉を聞いて、真木ヒナタが嬉しそうに立ち上がる。


そのすぐ後にポチが、そして私がついて出て行った。


私の後ろからは、組長の「いってらっしゃーい」という声が追いかけてきたが、執事に「組長がいかなくてどうするんですか。」と強い口調で注意され、いやいや私の後から出てきた。


最後に執事が「それでは、本日の請求は明日、組の方で。」と店長に声をかけてお店を出た。


私が一瞬振り返った時に、お酒の席でつまらなさそうにしていた執事がうれしそうに笑ったように見えた。


ただ、その表情は一瞬で元に戻ったから、私の見間違いかもしれないけど・・・


私は、今からの事に少し不安を覚えていた。


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