ヤクザと執事と私 1
第5章:暴走族
第1節:組長の安い策略
外では、組の車が2台、ビルに横付けされていた。
6人の組員が後部座席までの道を作っている。
真木ヒナタとポチが、車に乗らずに止まっていた。
「どうしたんですか、真木さん?」
私は、真木ヒナタを見た。
「ああ、あれ組長が安全に車に乗れるように人の壁つくっているのに、俺が先に乗るわけにはいかないからな。」
私は、ポチが言っていた言葉を思い出した。
組長は、命を狙われている。
それを防ぐための人垣。
私は、今さらながら、やくざの家に勤めていることを実感する。
組長が執事に連れられてやってきた。
「おっ、みんな、こんな所で止まってどうしたんだ?」
組長は、真木ヒナタ、ポチ、私と順に見る。