ヤクザと執事と私 1
「とりあえず、逃げて正解だったよ。そのまま家にいたら、ヤクザに攫われていたと思うよ。」
ハルさんは私の目をジッと見つめている。
「ただ・・・死ぬのはいただけないね。」
ハルさんは、私の独り言を聞いていたのだ。
ブランコに座り、思わず飛び出た言葉を。
「・・・うん。わかってる。」
私は、小さく返事をした。
「どうせ、人間いつかは死ぬのだから、それまではアホみたいに足掻いてやればいいのさ。このあたしみたいにね。」
ハルさんは、口を大きく開き、大笑いをする。
私は、なぜかそのハルさんの笑いを見て、少し救われたような気がしていた。
その夜は、ハルさんの所に泊めてくれた。
ブルーシート1枚しかなく、公園の音がそのまま聞こえてきて落ち着かなかったけど、ハルさんが隣にいてくれたおかげで少しは眠ることができた。