ヤクザと執事と私 1


「・・・いいから、さっさと乗るか、ヒットマンに撃たれるか、どっちかにしろよ。」


真木ヒナタは、待たされて、少しイライラした様子。


「真木ヒナタさん、一応、名前だけでも組長なんですから、もう少し考えてしゃべってください。」


執事は、真木ヒナタの耳に近づき、小声で、「他の組員がいますので・・・」と付け加えた。


真木ヒナタは、車の前に人垣を作っている組員を一瞬見ると、執事に向けて、一言、「そうだな、悪かったよ。」と言った。


その執事の後ろでは、組長が、ボソボソと何か独り言を呟いている。


私は、耳をすませてみると、どうやら、「一応・・・名前だけ・・・もう少し・・・俺って、本当に組長?」と小声でこぼしていた。


「何してるのですか、組長?早く乗ってください。」


執事が、組長に車に乗るように促す。

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