ヤクザと執事と私 1

第2節:河川敷へ





耳障りの良い執事の低い声が車内に響く中、車は目的地に到着した。


「とりあえず、到着致しましたので、今は、これくらいにしておきますが、残りは明日にでも、みっちりやりますので。」


結局、執事は、車が出発してから、到着するまで説教を続けていた。


私が横目でチラリと組長をみると、たった15分程度の車内で3㎏は痩せたような表情をしている。


最初の5分くらいは、組長も執事の説教に必死に反撃していたが、その度に返り討ちにあい、結局、残りの10分は、ボクシングでいうサンドバック状態。


足取りのおぼつかない様子で車を降りる。


私も組長の後に降りると、そこは轟音響く河川敷だった。


私が乗ってきた車の後に真木ヒナタとポチの乗った車も河川敷に到着した。


「大和、生きてるか?」


真木ヒナタが笑いながら、車を降りて近づいてくる。
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