ヤクザと執事と私 1
しかし、それを聞いたポチは、再び落ち込み、うなだれる。
「小夜・・・せ、世界って・・・どれだけ・・・範囲が広いんだよ。・・・小夜って・・・天然か?」
真木ヒナタが私のポチへの励ましを聞いて、お腹を抱えて笑い出す。
ポチを見ると、私と目を合わせてくれなかった。
「俺、そんなに酷いこと言いました?」
私は、真木ヒナタに尋ねた。
しかし、真木ヒナタは、お腹を抱えて、息が苦しそうにしていたので、近くにいた執事が代わりに答えてくれた。
「よいのですよ、小夜さん。真実は、時には本人にとっては、つらい現実の場合があるのです。下手な慰めは、本人のためにもなりません。」
執事の温かい微笑みが私を包み込む。
「そうですよね。」
私は、執事に肯定な言葉を貰い、安心した。
「・・・お前ら・・・最低な師弟だな・・・」
組長が執事と私を見て、あきれてつぶやいた。