ヤクザと執事と私 1
「それよりも、俺達もそろそろ行かないと龍一と大和が全部やっちまうぞ。」
真木ヒナタが私を見た。
「え、いや、俺は、別にそれでいいですけど・・・」
あんな乱闘に入っていくなんてとんでもないこと。
私は、真木ヒナタに拒否の姿勢を示す。
その間にも、囲みの中心部分では、人が次から次へと空に舞い続けていた。
その時、囲みの外にいた1人が私たちに気づく。
「おい、こっちにもいるぞ!」
その声に反応した暴走族が4人ほど、私と真木ヒナタとポチの方へと向ってきた。
「小夜兄さん、来ましたよ!」
なぜかポチは、私の背中に隠れて、叫ぶ。
(・・・この人、誘拐までするような人なのに・・・ケンカになると・・・)
私は、心底、あきれた様子でポチをチラリと見た。