ヤクザと執事と私 1
「小夜、3人は俺が貰うから、お前は1人だぞ。」
真木ヒナタが私に顔を向けないまま言った。
(いや、一人も要りませんよ。)
私の心の叫びだったけど、もうそれをいう暇は与えてもらえなかった。
暴走族の1人が私に近づいてきて、私の襟を片手で掴む。
その瞬間、私は、合気道の技で小石転がる河川敷に投げた。
暴走族の男は、綺麗に一回転すると「うっ」とうめき声を上げて、腰を抑えて動けなくなった。
そこに、ポチ登場。
いままで私の後ろに隠れていたのが嘘のように、私が投げた男に蹴りかかり、痛めつける。
「どうだ!くそ餓鬼が!」
悪態をつくポチ。
「・・・あいつ・・・心底、腐ってんな・・・」
いつの間にか、私の横に来ていた真木ヒナタがそんなポチの姿をみて、あきれ返る。
「・・・そうですね・・・腐ってますね。」
さすがに私も、この意見には同感だった。