ヤクザと執事と私 1
(そんなことが簡単に出来るなんて・・・)
私が不思議そうな顔で真木ヒナタを見つめる。
その私の視線に気づいたのか、真木ヒナタが付け加えた。
「まぁ~、俺、こう見えても荒事のプロだからね。・・・本当は、殺す方が楽なんだけど、こんなことで捕まりたくないし。」
笑顔の真木ヒナタ。
(どんなことなら、殺すというのだろうか・・・)
そんな疑問を真木ヒナタに聞くことは出来ずに、私も愛想笑いを浮かべた。
「どうでした?アッシは。」
ポチが、私と真木ヒナタの元に戻ってきた。
「寄るな・・・卑怯者。」
真木ヒナタが冷たく突き放す。
「何でですか?」
真木ヒナタに冷たくされ、私を見る。
その視線に痛いものを感じ、私も3歩ポチから離れた。
「何で小夜兄さんまで・・・俺が何したっていうんですか?」
ポチは、自分の卑怯さに気づいていないようだった。