ヤクザと執事と私 1


私と真木ヒナタに冷たくされ、今にも泣きそうなポチ。


そんなポチが少しかわいそうになり、私は、ポチの今にも泣きそうな顔を見つめる。


・・・やっぱりかわいそうじゃないや・・・


ポチの泣きそうな顔を凝視したのがまずかった。


おじさんの今にも泣きそうな顔は、凝視するにはきつすぎた。


「しょうがねぇーな。それじゃ、今から、あの囲いに行って、1人やっつけて来い。そしたら、許してやる。」


真木ヒナタが、中心に執事と組長がいる囲いを指差す。


「・・・本気ですか?」


「もちろん、本気。」


Sっ気全開の真木ヒナタ。


ポチは、真木ヒナタのその表情をみて、覚悟を決めた。


「小夜兄さん・・・先に旅立つ不幸をお許し下さい。」


ポチは、いたって真剣な顔。


「・・・どうぞ、ご勝手に・・・」


いくら私でも、ポチさんのあんな卑怯な姿を見た後では、フォローする気にはなれない。


「それでは・・・行ってまいります。」


ポチは、悲壮な決意を表情にみなぎらせて、囲いへと突進していった。


そして、そのまま、囲いの中へと飲み込まれていった・・・

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