ヤクザと執事と私 1

「真木ヒナタさん、遅かったですね。」


いつもの執事の表情と違い、交戦モードの生き生きとした表情の執事がそこにいた。


(・・・そんな龍一さんも・・・カッコイイ・・・)


私は、暴走族の囲いの真ん中にいることも忘れて、思わず、執事に見入ってしまう。


「ああ、ポチがまた馬鹿なことやってたから、ちょっと遅くなっちゃったよ。で、犯人はわかったのか?」


真木ヒナタが、周りを見渡す。


すでに囲いの人数は、最初の半分くらいになっていた。


「いえ、残念ながら、いまだに名乗り出ていただけておりません。」


執事と真木ヒナタは、話しながらも手は緩める様子はない。


つまり暴走族は次々に倒れている。


私はというと、真木ヒナタと執事が、うまくかばってくれているので、見ているだけでよかった。

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