ヤクザと執事と私 1
第6節:真壁純
「ヤメロー!」
囲いの後ろから、大きい声が響いてきた。
囲いを作っていた暴走族は、その声を聞いて、一斉に中心の私達を距離をとった。
囲いが割れて、一人の男が歩いてきた。
色黒の金髪で身長は、執事くらいありそうな長身。
「おい!あんたら、俺達に何の恨みがあるんだよ。」
その暴走族が、私達に話しかけてきた。
「やっと話し合いが出来る奴が出てきたな。」
真木ヒナタが横の執事を見る。
執事は、話しかけてきた真木ヒナタに言葉は返さずに一瞬だけチラリと見て、すぐに暴走族の方に向き直ると話しはじめた。
「皆さんの中で、私達のBarで暴れた方がいらっしゃるのですが、素直に出てきていただけませんか?」
どこまでいっても丁寧な執事。
今まで人を殴っていた人の言葉とは私には思えなかった。