ヤクザと執事と私 1
少し歩くと、数軒のブルーシートでできた家があった。
そのブルーシートの家の間の道に人が数人集まっている。
「みんな、おはよう。」
ハルさんがその集団に声をかけた。
「ハル婆、おはよう。」
その集団の人が口々にハルさんに挨拶を返す。
私は少し怖くなり、ハルさんの後ろに姿を隠した。
「こら、小夜、隠れないでみんなに挨拶しなさい。」
私は、仕方なくハルさんの背中から顔を出し、小さい声で「おはよう・・・ございます。」と挨拶した。
集団の人の動きが一瞬止まる。
そして、お互いが目を見合わせ、何か話しあっていた。
そして、集団の1人が、ハルさんに寄ってくると、「ハル婆、いくらなんでも誘拐はまずいよ。自首したほうがいいよ。なんならついていってやるからさ。」と真剣な表情でハルさん話しかけた。
ハルさんは、その男を思いっきり殴りつけた。
「他にアホな意見の奴はいないかい。」
ハルさんは集団をみる。
「それじゃ、この女の子はどうしたんだよ。」
殴られた男が殴られた箇所をさすりながら、ハルさんに聞く。
ハルさんは、簡単に説明する。
私は、その間、ハルさんの後ろから離れずに集団を観察していた。
集団は、男ばかりで、ほとんどが老人だった。