ヤクザと執事と私 1
「・・・真木ヒナタさん・・・あなたは・・・」
執事はあきれた様子でつぶやく。
組長は、なぜか私に向って、正座をして、「ははぁ~」といいながら、土下座をはじめる。
「な・・・なんですか、これは?」
私は、側にいた執事に尋ねる。
「・・・真木ヒナタさんと組長は、最近、水戸黄門の再放送にはまっておりまして・・・まさか、こんな所でやるとは・・・」
頭を抱えながら、うめくように声を出す執事。
「・・・水戸黄門・・・ですか・・・」
私が周りを見ると、暴走族たちの視線を独り占めにしていることに気づいた。
(・・・ありえないんですけど・・・真木さん・・・)
私は、執事の背中に今まで以上に隠れる。
「・・・それって偉いのか?執事・・・見習いって?」
訳のわからない真壁純は、困った様子になり、真木ヒナタに聞いた。