ヤクザと執事と私 1

「だめですよ、真木ヒナタさん。」


執事が、そう言いながら、真木ヒナタの方へ一歩踏み出した時、真木ヒナタは、軽く言った。


「うん。それでいいよ。」


まるで何か遊びに行くかのような軽い返事。


「真木ヒナタさん、あなた、何言っているのですか。」


執事が真木ヒナタに詰め寄る。


「え、何?大丈夫だよ、小夜なら。こんな奴ら相手なら。」


「そういう問題じゃないですよ。」


「もう、わかったよ。」


執事に詰め寄られ、渋々、真木ヒナタが、真壁純に近づいていって言った。


「相撲で勝負な。」


「・・・相撲?」


「ああ、何か、小夜ってうちのマスコット的な扱いでな、怪我させたらまずいらしいんだよ。というわけで、相撲な!」


語尾の最後だけ、ヤクザの押しを出す真木ヒナタ。


「・・・はい。」


思わず真木ヒナタの押しに負ける真壁純。
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