ヤクザと執事と私 1
ハルさんが話し終えると、みんなが涙を流し、私に「大変だったね」と声をかけてくる。
「小夜、ここに座りな。」
いつの間にか、ハルさんは近くの公園備え付けの椅子に座り、私を呼んだ。
私は、みんなが私を見つめるのが恥ずかしくなって、急いでハルさんの横に座った。
座って少しすると、1人の老人が、器に豚汁を入れて運んできてくれた。
「豚汁は好きかい?お嬢ちゃん。」
豚汁を運んできた老人が私に話しかけてきた。
私は、首を縦に振り、豚汁の入った器を受け取った。
よく考えたら、私は、昨日から、ほとんど何も食べていなかった。
我慢できなくて、すぐに豚汁に口をつける。
「小夜、急がなくても、誰も取らないよ。」
ハルさんが私を見て笑っている。
私は、あっという間に渡された豚汁を全部食べてしまった。
(・・・足りない・・・)
私は、もの欲しそうな顔で空の器を見ていた。