ヤクザと執事と私 1
私は、サブに言われて、お風呂場にある鏡の前に立った。
「・・・・あ~!な、何なんですか、これは!」
そこには、黒のマジックで落書きされた私がいた。
まだ、笑った状態のサブがお風呂場を覗く。
そんなサブを私がにらみつけた。
「ち、違うよ。俺じゃねぇーよ。」
激怒の表情の私を見て、焦ったサブが必死に説明し始めた。
「ほら、その、真木さんがさ・・・小夜が、来てねぇ~って騒いでさ。しょうがないから、小夜は、まだ、俺のアパートで寝てますっていっちゃったんだよね。」
私は、そこまで聞いて、すでに納得できていた。
真木ヒナタなら、この程度の悪戯は、たいしたことではないだろう。
むしろ、この程度の悪戯ですんで、よかったと思うべき。
私は、鏡を見て、もう一度、大きなため息をついた。
(真木さん・・・あの、気まぐれデンジャラス女装癖!)
私は、本人には言えないので、心の中で、真木ヒナタに悪態をつく。