ヤクザと執事と私 1
「あ、俺の女装は、別に好きでやってるわけじゃないぞ。」
私が、その声に驚き、後ろを振り返ると、そこには、昨日とは違い、スーツ姿の真木ヒナタが立っていた。
「な、ど、どうして、心の中で言ったのに?」
私は、驚きの表情を浮かべる。
まさか、真木ヒナタは、読心術まで・・・?
(真木さんなら、ありえるかも・・・)
真木ヒナタなら何があっても不思議とは思えなかった。
「やっぱり、そんなこと考えていたか。小夜は、表情に出やすいから、わかりやすいんだよ。」
真木ヒナタが笑う。
どうやら、私は、カマをかけられたようだった。
「・・・すいません。真木さん。」
真木ヒナタは、気にしてないって様子で、「いいって。」と軽く笑う。
「それよりも、早く準備しろよ。今日も忙しくなるからな。」
「わかりました。」
私は、急いで、落書きされた顔を石鹸で洗う。