ヤクザと執事と私 1
「それよりも、部屋にスーツおいといたから、それに着替えてから来いって真木さん言ってたぞ。」
「スーツ?」
よく見ると、サブも昨日のチンピラスタイルとは違い、スーツ姿だった。
「ああ、何かどっか行くところがあるってよ。」
私は、お風呂場を出て、部屋でスーツに着替える。
(スーツかぁ~・・・ )
私は、少しうれしくなった。
何か自分が大人になったような気分になる。
ズボンをはき、シャツを着ようとした所で、いきなり部屋のドアを開け、サブが入ってきた。
「準備できたか、小夜?」
私は、急いで、服で胸を隠して、サブと逆方向を向く。
「何ですか、サブさん?早く出ていってくださいよ!」
「え?ああ、悪かったよ・・・それじゃ、準備できたら、出てこいよ。」
サブは、なんで私に怒鳴られたか、わからないといった様子で出て行く。
私は、サブが出て行くのを確認して、ため息をついた。
「はぁ~・・・よかった。見つからなくて・・・」
今さらながら、女の私が男として過ごすことの難しさを感じていた。