ヤクザと執事と私 1
私は、それから、急いで準備をして、サブのアパートを出て、組に向う。
組の門をくぐると、玄関の前に車が2台止まっていた。
「小夜さん、こちらですよ。」
一台の車から、執事が降りてきて、私の側に来る。
「申し訳ありません。龍一さん。」
私は、執事が側に来るとすぐに深々と頭を下げた。
「頭を上げてください。小夜さん。私の許可したことですので、いいのですよ。お気になさらなくても。特に、昨日は大変でしたし。それよりも、真木ヒナタさんに落書きされたそうですけど、大丈夫でしたか?」
執事は、右手を私の頬に伸ばし、大きな手のひらで私の頬を包み込む。
執事の右手の手のひらは、温かくて気持ちよかった。
「・・・はい。」
私は、執事の目をまともに見れないまま、頬を紅潮させて答えた。
「どうしました?少し、頬が熱いようですけど。熱でもありますか?」
執事は、そういうと私のおでこに執事のおでこをくっつけた。
「・・・・!!!!」
私は、声を出すことができない。